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劇場版 SAO OS(オーディナル・スケール)レビュー!SAOファンに贈る物語!(ネタバレあり)

SAOファン待望の新作が劇場版で上映!

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2/18(土)映画 公開初日に観てきました。

以下、ネタバレ含むレビューとなります。

 

あらすじ

2022年、天才プログラマー・茅場晶彦が開発した世界初のフルダイブ専用デバイス≪ナーヴギア≫。
その革新的マシンはVR(仮想現実)世界に無限の可能性をもたらした。それから4年……。
≪ナーヴギア≫の後継VRマシン≪アミュスフィア≫に対抗するように、一つの次世代ウェアラブル・マルチデバイスが発売された。≪オーグマー≫。
フルダイブ機能を排除した代わりに、AR(現実拡張)機能を最大限に広げた最先端マシン。
≪オーグマー≫は覚醒状態で使用することが出来る安全性と利便性から瞬く間にユーザーへ広がっていった。
そのキラーコンテンツは、≪オーディナル・スケール(OS)≫と呼ばれる≪オーグマー≫専用ARMMO RPGだった。
アスナたちもプレイするそのゲーム に、キリトも参戦しようとするが……。

 

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スピーディーで迫力のバトルシーン!

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大変見応えあるスピード感溢れる、バトルシーンでした!

特に100階層のボスとのラストバトルは、いつものレギュラーメンバーそれぞれが見せ場も作っていて、アドレナリンが出まくり、鳥肌が止まりませんでした!

 

ラストバトルはSAO総集編を思わせる圧倒的なキャラ登場数!

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OSの時間軸はSAOアニメ編の続編となるわけですが、アニメで登場したほぼ主要なキャラがラストバトルで一斉に参戦します。

(一人一人のカット自体は非常に短いですが。)

これ誰だっけ?と思ってしまうようなGGOのキャラまで登場してましたね。笑

 

時間軸的に既に他界している彼女を、ああいう形で登場させたのはブルっと来るものがありました。

ただ、あのシーンはもっと尺をとって大事に扱って欲しかったな・・と感じました。

 

彼女自体大変ファンが多いキャラでしたし、SAOの回想シーンがあるのであれば、ALOであの技を引き継ぐ回想シーンをもっとしっかり入れて欲しかったです。

 

 

良くも悪くもファン向け総集編作品

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最後に客観的な視点でレビューを。(ネガ含むので、気になる方はここでご退出ください。)

 

本作は良くも悪くもSAOファン向け総集作品であり、それ以上でもそれ以下でも無く、ストレートど真ん中を投げた作品です。

 

まず、ストーリー自体はSAO時代の過去を引き継いでいますが、その原点となるSAOのスト―リー性と作風は大きく異なっています。

 

・死への緊張感がほぼ無い

・敵の脅威やラスボスの存在感の弱さ

 

という点です。

 

死と密接しないストーリー展開

アニメSAO編ではゲーム内に監禁され、ゲーム内で死ねばリアルでも死ぬというデスゲームがストーリーに緊張感を持たせていました。

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本劇場版でも触れていますが、SAOでの死亡例は敵モンスターに倒されるだけでなく、自殺や他殺など、プレイヤーによる命の消失が起こっていたのがストーリーとしてのおぞましさを引き立てていたと考えます。

 

そんな閉塞的な環境に置かれていたからこそ、

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シリカやリズベットといったサブキャラが、他プレイヤーとは異質なキリトに対し、僅かな時間で心を許してしまう現象も違和感なく受け止めることが出来ました。

 

これはSAO編だけでなく、GGO編はリアル殺人であり、ALO(ユウキ編)は病死と、姿を変えつつも死と常に密接した内容だったので、緊張感を保ちつつ、最後の展開を気にして視聴出来ました。

 

SAO作品とは全て

「リアルな死を隣り合わせにしたゲーム」

を骨格にしており、それが次はどんな姿で展開されるのか?という点を期待していたんです。

 

しかし、本作では終盤までまるでそれが無い。

 

キリトが奮闘する理由がアスナの記憶、それもSAO時代に限ったアスナの記憶を取り戻すことになっています。

 

勿論「大切な記憶だから」ということで行動原理として分かるとしても...視聴者視点から見てその緊張感は非常に弱い

 

SAOサバイバーを集結させることを目的としたユナのライブでは、"場合によってはOS参加者を死に至らしめる可能性"が示唆されました。

これは、終盤になっての、とってつけた感、強引さが抜けきらないという印象を強く受けてしまいました。

 

同じ死を扱うにしても過去作と別物なんですよね。

もしかしたら死んじゃうかも?という偶発的な死では緊張感は作れない。

 

SAOは設定された殺人デバイスだったし、GGOは計画的殺人事件だったし、スリーピングナイツは死の未来が確定していました。

 

死へのベクトルが不安定では、絶対にダメなんです...。

 

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敵の脅威不足

敵キャラとして登場するエイジですが、SAOで血盟騎士団のヘタレ時代を回想し、自身の不甲斐なさを悔やんでいていました。

アスナが彼のことを昔とは別人と表現していたことからも、SAOで弱者だった彼が、AR世界で強者に至るだけのバックボーンや過程があると想像させます。

 

しかし、それは..重村教授から受け取ったアイテムによる強化のみ!という結論。

完全に斜め下をいく内容です。

 

キリトにあっさりアイテムを剥ぎ取られたら最後、ただの雑魚になってしまうとか、SAOにとって重要な人役のラスボスとしては、いくらなんでも底が浅すぎると思わざるを得ません。

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同じSAOサバイバー経歴を題材とした死銃と比べると、かなり薄っぺらい設定です。

 

更にOSで最終黒幕となる重村教授。

一番腑に落ちないのが彼の設定です。

もはや狂人なのか、変人なのか分からないと感じました。

 

SAOラスボスの茅場は完全に狂人でした。

また自身のゲーム内で絶対的な能力を保有していたので、圧倒的な存在感がありました。

 

それに対し、重村教授は微妙過ぎる設定です。

 

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SAOサバイバーから娘であるユナの記憶を集結させて、自立的AIを完成することを目的としているものの、その行動に疑問点ばかり残ります。

 

まず自立AIを完成させるのに、何故SAO時代の記憶を必要とするのか?

SAOは強制的に監禁された異常世界であり、そんな記憶が本来の娘の自立AIを形成するための情報になるわけがないと思うのです。

 

さらに彼の記憶奪取構想の非合理性です。

彼のプランを実現するためには、SAOサバイバーがオーグマーを介してOSをプレイすることが前提となっています。

もし、ユナの記憶について重要な情報を持っているSAOサバイバーが、物語序盤のキリトのようにARに興味を持たず、OSを全くプレイしない場合どうするのでしょうか?

 

VRについても権威を持つ大学教授の立場であれば、SAOサバイバー全員を対象に、身体チェックという名目で記憶を抜き取る方がよっぽど効率的だと思います。

 

ARデバイスとOSというゲーム作りというとんでもない遠回りをして、最終的には犯罪事件にまで手を染めるキャラ設定はかなり苦しいものがあると感じました。

それ故に彼が狂人というより、ただの変人に思えてならず、敵としての脅威性を全く感じられなかったのです。

  

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ネガ要素も多くなってしまいましたが、この作品は単体で評価するものでは決してありません。

SAO OSはファンのための感謝作品として作られていると感じたからです。

 

SAOファンとしては、この映画そのものの出来不出来よりも、ファンが傾倒したSAO過去作品の繋がっていること、また過去への回想こそが重要なんだと感じました。

それはTVアニメ登場キャラクターが再登場したり、原作再現ということでSAOやALOアバターを復刻させたり、既に死亡している彼女を別の形で再現するなどです。

 

そういう点では、まさにSAOアニメファン向け総集編的な内容になっていると考えます!

 

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加えて・・スタッフロール後の一幕は劇場来場者に対する先行告知サービスでしたね。

最後に歓喜した人も多かったと思います。

 

ファンの皆様、3期おめでとうございます!