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演説シーンの1話だけで、こんなに涙が止まらない作品が他にあるのだろうか? 『まおゆう』レビュー

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経済・宗教・差別をテーマにしたファンタジー『まおゆう』

  

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あらすじ

人間と魔族が長く戦争を続けている世界……。強大な力を持つ「勇者」は、魔王を倒して人間世界を救うべく魔王の城に乗り込んだ。だが、そこで彼を待っていたのは、人間の女性そっくりの「魔王」であった。

彼女は勇者と戦おうとはせず、勇者に自分のものとなるよう契約を求めてきた。

あくまで魔王と戦おうとする勇者に、魔王は冷静に人魔間の状況を語り、現在の社会秩序や経済活動が戦争に依存しており、魔王を倒しても根本的解決にならないことを説く。

彼女の願いが終戦による破局でも戦争の引き伸ばしでもない、争いや飢えのない新たな可能性であること、そのために勇者の協力を求めていることを理解した勇者は、彼女の契約を受け入れる。

 

 

まおゆうレビュー

一見、王道の冒険ファンタジーのような印象を受けますが、その中身は経済復興や宗教対立・戦争をテーマとした物語です。

 

まおゆうの世界では人類と、魔族が対立して戦争しているのですが、物語冒頭で魔王は勇者に

 

現状では 戦争すらも人類を存続させる必要悪になってしまっている

 

と、語りかけます。

 

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この視点が本作の独特の視点であり、王道である敵のボスを倒せば全てが終わり平和になる・・といった王道ファンタジーを初っ端から全否定しています。

 

 

戦争自体が特需を産み出しており、経済と流通が産まれることで世界の調和が成立していまっている。

では、戦争特需に代わる需要と供給をいかに産み出せばいいのか?

 

それが農業革命であり技術革新なのだ

 

ということで村の復興に勇者や魔王が関わる形で物語が進行します。

ストーリーのテーマとしては非常に濃く、戦争・宗教・差別に対して哲学的な一石を投じた作品です。

 

ただ随所に魔王と勇者のラブコメシーンがあるので(本作の評価を下げている要素かと)、恋愛系ファンタジーの印象から視聴途中で離脱してしまう人がいます。

 

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ただ、ストーリーの是非本質を見失わないで最後まで・・いあ、第9話まででも、どうか見て欲しい作品です。

 

 

何度観ても涙が止まらないメイド姉の演説シーン (第9話)

メイド姉の演説シーンに多くの視聴者が神演説だと絶賛した!

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本作でもっとも人気のあるシーンは、間違いなく第9話のメイド姉の演説シーンでしょう。

 

血流描写など、やや過激な描写もある本シーンですが、このメイド姉の演説はもう一言一句が次々に心の中に入ってきて、涙腺に響き渡ります!

 

 

もうこの第9話は、本当に名言として世に残したいオンパレードでした。

その中でも特に私が涙したセリフを引用します。

 

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私は、自信がありません。

「このからだの中には、卑しい農奴の血が流れているじゃないか」
「お前は所詮、虫けら同然の人間もどきじゃないか」と。

 

だからこそ、だとしても、私は、人間だと言い切らねばなりません

 

なぜなら、自らをそう呼ぶことが、人間であることの最初の条件だと、私は思うからです。

 

 

最も身分階級の低い「農奴」として産まれたメイド姉。

自身が虫けら同然の存在だと疑いながら、それを否定し、人間であることを示すには自らを人間だと呼ぶことでした。

 

 

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投げようと思うなら投げなさい!

 

この狭く、冷たい世界の中で、家族を守り、自分を守るために、石を投げることが必要なこともあるでしょう。

 

私はそれを責めたりしない!

 

その判断の自由も、また、人間のもの。

その人の心が流す血と同じだけの血を、私は、この身を以って流しましょう!

 

しかし、「他人に言われたから」「命令されたから」という理由で、石を投げるというのなら。 その人は「虫」です!

 

自分の意思を持たない、精霊さまに与えられた大切な贈り物を他人に譲り渡して、考えることをやめた「虫」です!

 

それが、どんなに安らげる道であっても、宝物を譲り渡した人間は「虫」になるのです! 

 

 もうこのシーンは文字だけ見ていても涙がじんわり出てきますよ・・。

 

宗教的上の異端者として認定されたメイド姉に、本国からの使者が聴衆に向かって「石を投げよ」と言います。

これは、それに対しての反論です。

 

メイド姉自身の境遇が自身ではどうにもならない、他人に言われたことをただやるだけの人生だったことに対する言葉だと分かるだけに、感情移入が止まりません。

 

 

もはや、この1話だけで『まおゆう』を観る意味があると言っても過言ではありません!

 

私はこの第9話を録画して、泣きたい時にはこれを観て何度も何度も泣きました。

今でも大切にとってあります。

 

辛いとき、また見返したくなった時、いつでも観れるように今でも残してあります。 

 

 

 

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